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現在、初期記事のリニューアルと英語訳の付け加え作業をゆっくりおこなっています。

世界の自然と文化~ヨーロッパ編~

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世界の自然と文化。いよいよヨーロッパ編です。

 ユーラシア大陸の西の端に位置するヨーロッパは、その大部分が温帯、亜寒帯になっており、人口密度が高い地域となっています。緯度は全体的に高く、南ヨーロッパのローマやアテネでさえ東京より北(高緯度)です。しかし暖流や偏西風の影響もあって、同じ緯度でも大陸東側より温暖です(もちろんロシアや北欧は厳しい寒さですが…)

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ヨーロッパの地理

ヨーロッパの地形

ヨーロッパの南側には地中海が広がっています。いわゆる内海のため、大西洋などと比べると波は穏やかで、古くから多くの船が行き交いました。これが、西アジアやエジプトの文明をヨーロッパのにもたらし、ギリシャ文明やローマ帝国を築く手助けをしました。

スペインとポルトガルが位置している四角い半島がイベリア半島。この半島とヨーロッパの間にはピレネー山脈が走っており、フランスとスペインの国境にもなっています。

 

ヨーロッパ大陸を見ると、全体的には平坦な地形が目立ちます。その中でアルプス山脈は大規模な山岳地帯で、ヨーロッパの冬季オリンピックは、大部分がこの山脈周辺で開催されました。このあたりは造山運動もまだ活発で、イタリアは時折大きな地震に見舞われます。

 

その北、フランスやドイツの主要部は平地が多く、沖合のイギリスを含めて西岸海洋性気候の特徴を持っています。日本と比べると一年の気温差はそれほどでもありません。これらの平地をつくりだした川は、多くの国を通る「国際河川」となっています。ライン川、ドナウ川はその代表格でしょう。

 

北欧のスウェーデンとノルウェーは、スカンディナヴィア半島上に位置しています。氷河によって削られた地形、フィヨルドが多く見られます。この半島とヨーロッパ大陸に囲まれた海がバルト海で、こちらも歴史的に水上交通の盛んな海でした。一方、ノルウェーとイギリス(ブリテン島)に挟まれた海が北海で、ヨーロッパ有数の油田があります。

ロシアの地形

続いてロシアの地形も見てみましょう。まず、東経60度線にほぼ沿うように走るのがウラル山脈です。この山脈を境に、西側が「ヨーロッパ・ロシア」と呼ばれる地域で、首都モスクワをはじめ、人口の7割くらいは「ヨーロッパ・ロシア」に集中しています。

 

ウラル山脈の東側が、広い意味でのシベリアで、亜寒帯の大森林「タイガ」が広がっています。更にタイガの中を多くの「大河」が流れています。自然豊かなのはいいのですが、北極、南極を除くと世界で最も寒さが厳しい地域のため、人口は少なめ。

 

そのシベリア南部にある、三日月型の湖がバイカル湖世界一古く、世界一深く、水の透明度まで世界一という、モノスゴイ湖です。

 

一方、世界一広い湖が、塩湖のカスピ海。その広さは日本の面積にほぼ匹敵しますが、ロシアはその北岸に接しています。カスピ海と黒海の間に走る山脈がコーカサス(カフカス)山脈。歴史的には、キリスト圏とイスラム圏、あるいはトルコ文化圏、イラン文化圏、ロシア文化圏の衝突する場であり、アルメニア人のほか多くの少数民族が逃げ込んだ地域でもあります。そのため民族構造、宗教構造は複雑。チェチェン共和国などロシア内の自治国もこの山脈の北側に集中しています。

エリア別ヨーロッパ

ここからは、ヨーロッパをエリアごとに見ていきます。

ヨーロッパの国々は東西南北の4地域に大別できます。とはいえ、その境界はあいまいといいますか、必ずしも明確に「この国は〇〇ヨーロッパ」と決まっているわけではないので悪しからず。

黄色が西ヨーロッパ(西欧) 青が南ヨーロッパ(南欧)、赤が北ヨーロッパ(北欧)、ピンクが東ヨーロッパ(東欧)、緑がロシアです。複数のエリアに含まれる国や場所は、斜線であらわしています。トルコ、キプロス、アゼルバイジャン、アルメニア、ジョージアをヨーロッパに含めることもありますが、ここでは省略。

西ヨーロッパ(西欧)

西ヨーロッパは、イギリス、フランス、ドイツというヨーロッパのけん引役を担う大国や、その周辺に当たるオランダスイスなどの国々が含まれます。

ヨーロッパ史でも中心的に扱われ、19世紀半ばから第二次世界大戦くらいまでは、英仏独の動向が世界を左右していたといっても過言ではありません。ゆえにアメリカや中国ほどではないにしろ、現在も国際的な影響力は高め。

 

この大国3つに囲まれた、一回り小さな国(オランダ、ベルギー、ルクセンブルク)は「ベネルクス三国」と呼ばれています。これは「ベ=ベルギー」「ネ=ネーデルラント(オランダの別名)」「ルクス=ルクセンブルク」を並べたもので、歴史的に1つの君主を抱いていたことがあるなど、共通性の高い国です。EUの前身であるEC(ヨーロッパ共同体)もベネルクス三国の積極的な働きかけで生まれたものでした。

 

各国のGDPは高く、G7(先進主要七カ国)の内、3か国(英仏独)がこのエリアに集中しています。EUの本部もベルギーのブリュッセルにあり、スイスのジュネーヴやオーストリアのウィーン、フランスのパリなどには国連や国際組織の重要な機関が、本部や支部を置いています。

西ヨーロッパの国

気候は比較的穏やかな西岸海洋性で、全体的に治安も良い国が多いため、観光客や留学先としても人気。ロンドンのビッグベンやタワーブリッジ、パリのエッフェル塔や凱旋門、ベルリンのブランデンブルク門など、世界的に有名な観光名所も少なくありません。

北ヨーロッパ(北欧)

北ヨーロッパは一般に「北欧」と呼ばれることがほとんどなので、ここでも北欧と呼ばせていただきます。文字通りヨーロッパの北にある国です。

北欧諸国

エストニア、ラトビア、リトアニアの「バルト三国」は、場合によって北欧に含まれることがあるので、ここにも表示しましたが、一般に北欧と言えばアイスランド、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマークの5か国を指します。

 

北欧5か国はヴァイキングをルーツとし、一時連合王国を築いていたり、現在の国旗も似ているなど、その歴史的結びつきが強いことで知られています。イギリスやドイツのような大国にはなれませんでしたが、現在は福祉政策やIT技術に力を入れ、民主主義のレベルも高いなど世界の「お手本」となっている国々となっています。フィンランドの「ノキア」、スウェーデンの「IKEA」、デンマークの「LEGO」など日本人にもお馴染みの企業も北欧生まれが少なくありません。

北欧の名所

その緯度の高さゆえにもちろん寒いですが、その気候を利用したウィンタースポーツやオーロラ観光なども魅力です。

南ヨーロッパ(南欧)

南ヨーロッパの国々は、地中海に面した温暖な気候が特徴です。なお、セルビアアルバニアなどバルカン半島の国は、東ヨーロッパに含まれることも多いです。

南欧諸国

スペイン、イタリア、ギリシャ、南フランスなど、全体的にのんびりしたイメージの国々がズラリ。しかし、紀元前には古代ギリシャ人の都市が多数建設され、その後はローマ帝国が南ヨーロッパを中心として大いに栄えました。現在もパルテノン神殿コロッセオなど、当時の遺跡が数多く残っているのも、南ヨーロッパの特徴です。

南欧の名所

その他、オリーブオイルや魚介類を用いた料理が食べられる、コートダジュールやエーゲ海、アドリア海といった美しい海を持つ、といった共通点もあり、リゾート地として賑わっている場所も少なくありません。

東ヨーロッパ(東欧)

西、南、北が、その地理的・歴史的な特徴によって区分けされているのに対し、東ヨーロッパは、歴史的・政治的な特徴から区分けされている意味合いの強い地域となっています。

東欧諸国

上にあげた東ヨーロッパ諸国はいずれも20世紀半ば以降に共産圏(ソ連側の陣営)だった国々で、しかも、エストニア、ラトビア、リトアニア、ベラルーシ、ウクライナ、モルドバは20世紀末までソ連の一部でした。

同じように、セルビア、スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、モンテネグロ、北マケドニア、コソボの7カ国は、かつて「ユーゴスラビア」という一つの国を形成していました。こちらも冷戦後バラバラになってしまい、現在に至ります。先述のように、時々「南ヨーロッパ」として扱われることもあるようです。

この、旧ユーゴスラビア諸国に加え、ルーマニア、ブルガリア、アルバニアは、バルカン半島にあることから「バルカン諸国」と呼ぶこともあります。

その北に位置する、ハンガリー、チェコ、スロバキアオーストリアを含めた地域は、地理的にヨーロッパの真ん中という事から「中欧」と呼んだりします。

言語の面では、スラヴ系の言葉を話す人が多いですが、バルト三国とハンガリー、ルーマニア、モルドバではスラヴとは異なる言語が公用語となっています。

東欧の名所

このように民族的に複雑な地域ですが、歴史的にもなかなか複雑で、ロシアやオーストリア、オスマン帝国といった大帝国の影響を、おのおの受けた過去を持っています。そのため文化面でもイスラム教東方正教の影響を受け、西ヨーロッパなどとはどこか異なる独特のものを持っています。

ロシア

ロシアも、東ヨーロッパに含まれる場合がありますが、そのデカさゆえに、ここでは別個のものとして扱います。

ロシア

世界最大の面積をほこるロシアですが、人口は日本より少し多いくらい(それでもヨーロッパでは唯一の1億超えの国)。前述の通り人口の大部分は西側に集中しており、この大国を引っ張ってきたのも、モスクワサンクトペテルブルクなど、「ロシア西部」でした。

ではロシアの東の方、いわゆるシベリアには何も無いかといえばそんなことはなく、いくつかの都市が築かれています。これらの都市を結び、ロシア中枢との繋がりを支えているモノの代表格が、世界最長をほこるシベリア鉄道です。

ロシアの名所

EUとは何ぞや

 ヨーロッパを語るうえで欠かせないのが、ヨーロッパ連合(EU)の存在です。

 そのきっかけは第二次世界大戦でした。この悲惨な経験を繰り返さないよう、資源や経済の問題を複数の国で解決しようという組織が戦後つくられた後、これらが1967年に統合され、ヨーロッパ共同体(EC)が生まれます。その原加盟国は、西ドイツ、フランス、イタリアと、これら大国に翻弄された過去を持つベネルクス三国でした。

やがてこのECへの加盟国が増えていきますが、冷戦終結までおもな加盟国は西欧と南欧が中心でした。

 

 1993年ECが更に発展し、EUへと進化を遂げます。これにより加盟国内で国境を越えることは簡単になり、人やモノの移動が促進。あたかも一つの国のような存在となり、人口や経済面では日本やアメリカを上回る存在となりました。

 冷戦後、ソ連の影響を気にしなくなった北欧や中欧の国が加盟しはじめ、2004年には東欧を中心に一気に10カ国が加盟。その後もバルカン半島の国が加盟し、EU加盟国は一時、28カ国となりました。1999年からは共通通貨ユーロも導入され、更に商業が盛んになります。ただし、実際に自国通貨を捨ててユーロを選んだのは加盟国の一部にとどまりました。

EU拡大

EUが拡大するにつれて、問題も生じてきます。人の移動が自由になった事で、貧しい東欧の国から豊かな西欧への人口移動が激しくなります。この結果、西欧では、外国人に仕事を奪われるという不満が生じ、東欧の一部の国では、人口減、特に働き盛りの世代が国を去るという問題が生じるようになりました。

 

2010年には、加盟国の一つでユーロ圏のギリシャが、多額の債務を隠していたことが発覚。これがきっかけでユーロへの信頼が揺らぎ、ヨーロッパ全体に経済危機が発生しました(ギリシャ危機)。このように1つの国で生じた問題がEU加盟国全体に影響を及ぼすという点で、EUは「運命共同体」なのです。

そのため巻き添えは御免!と考える人も出てきました。2020年イギリスがEUからの離脱してしまったのには、こうした背景があります。

加えて中東やウクライナからの難民、あるいはロシアとの関係などEUが、そしてヨーロッパが抱えている問題は数多くあります。これをどう解決していくのか、戦後生まれたヨーロッパ連携の在り方が今、問われています。

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