アルジェリアとナイジェリア　くらべてみました

アフリカにある２つの国、アルジェリアとナイジェリアは、その国名ゆえにバラエティー番組（〇点など）でネタにされることがあります。もちろん、こんなネタが通用するのは日本語圏だけなんですが。そもそもアルジェリアもナイジェリアも、日本人にとっては（決してマイナーではないにしろ）あまりイメージのわかない国じゃないかと思います。今回は敢えて２つの国を比べてみました。すると意外な共通点、相違点が見つかりました。

国名の由来

まず国名の由来から。当たり前ですが、日本語の「ある」「ない」とは全く関係ありません！

 

アルジェリアは北アフリカの国で、国名の由来は首都の「アルジェ」から来ています。地中海に面するこの街は、「島々」というアラビア語「アル・ジャザイル」が縮まって「アルジェ」と名付けられました。そしてこのアルジェを中心とした地域を表す地名として、語尾に「～の地」という意味の「ia」がくっついて「アルジェリア」となり、それが広がって国名にまでなりました。

ナイジェリアは西アフリカの国で、国名の由来は「ニジェール川」です。ニジェール川はナイル川、コンゴ川などと並ぶアフリカ屈指の大河で、ナイジェリアはその河口付近に位置しています。この「ニジェール」が英語風になまって「ナイジェル」になり、アルジェリアと同様、語尾に「～の地」という意味の「ia」がくっついて「ナイジェリア」となりました。

隣にそのまんま「ニジェール」という国もありますが、アルファベットにしてみると一目瞭然、「Ｎｉｇｅｒｉａ」および「Ｎｉｇｅｒ」と、非常に似通っています。

つまり、アルジェリアとナイジェリアは、全く別々の由来というワケ

歴史

　両国の歴史について簡単に触れてみたいと思います。アルジェリアは、主に地中海の動乱に左右されました。古くはローマ帝国の属州が置かれましたが、７世紀以降はアラブ人がイスラム教を携えて移住。そこからルスタム朝、ハンマード朝、ズィール朝といった独自の王朝が作られた事もあれば、モロッコやオスマン帝国の支配を受けたこともありました。19世紀にはフランスの植民地となり、20世紀に激しい独立戦争の末、1962年植民地を脱します。

ナイジェリアの場合、北部にはイスラム教徒が多く、サハラ砂漠を縦断する交易路の中継地としてハウサ人の王国が栄えました。南部のギニア湾に面した地域は、大航海時代以来、オヨ、ベニンといった王国がポルトガル人やイギリス人と交易して発展。中でも奴隷はその代表的な“商品”でした。こうした関係で南部にはキリスト教徒が多く住んでいます。

19世紀に奴隷貿易が禁止されると、今度は商品作物のプランテーションが築かれ、それを主導したイギリスの植民地に。独立するのは1960年です。しかしイギリスが勝手に線引きしたナイジェリアの範囲には多くの民族、宗教が入り乱れ、1967年には石油資源などが絡んで悲惨なビアフラ戦争が起きました。

※ヨーロッパの国によって植民地化され、独立前後に多くの血が流れる経験した点で共通しています。もっともアフリカの国は、ほとんどがこうした苦難を抱えていますが‥‥

アフリカ最大の〇〇

アフリカ州（大陸とその周辺の島々）には54もの国がありますが、その中でアルジェリアは最大の面積を誇る国です。かつてはスーダンが最も広い国でしたが、2011年に南スーダンが分離独立したことで、スーダンの面積は縮小。繰り上げの形でアルジェリアが面積最大となりました。とはいえ国土の大部分はサハラ砂漠で、人口は地中海に面する北部に集中しています。

 

一方のナイジェリアは、アフリカ最大の人口を持つ国です。2024年現在その人口は２億人を超え、今なお増加中です。前述の通り、ナイジェリアはニジェール川の河口付近にあり、イモなどの農業に適した土地が広がっていることがその背景にあると思われます。実際、ナイジェリアはタロイモ、ヤムイモ、キャッサバの生産がいずれも世界一となっており、この巨大人口を支えています。

※出典は、データブックオブザワールド2024（二宮書店）

偶然とはいえ、面積、人口という国の最も基本的なバロメーターで、アルジェリアとナイジェリアが各々アフリカトップの数値を持っているというのは興味深いです。

時差

これも偶然というか地理的な要因によるものですが、アルジェリアとナイジェリアは同じ時間帯に属しており、両国の間には時差がありません。

グリニッジ天文台のあるロンドンとの時差は１時間、日本との時差は8時間となっています。

石油

実はどちらの国も産油国です。なんとなくアラブっぽいイメージで、アルジェリアの方が石油を多く産出してそうですが、統計を見るとナイジェリアの方が上です。天然ガスの産出では、アルジェリアがナイジェリアを上回っています。

 

　アルジェリア：原油5000t（2016年統計）　天然ガス960ｔ（2018年）

　ナイジェリア：原油8900ｔ（2016年統計）天然ガス440ｔ（2018年）

 

なお、こうした化石燃料に経済を支えられている点は、どっちの国も同じです。

スポーツ

　アフリカ人の得意なスポーツといえば、陸上、マラソンなどが思い浮かびますが、両国で最も人気なスポーツのひとつはサッカーです。FIFAワールドカップにおいて、最多出場の国はカメルーン（８回）ですが、ナイジェリアは同率２位（６回）、アルジェリアは同率５位（４回）を誇っています。５4カ国もあるアフリカ州の間で予選を勝ち抜くのは大変なので、複数回出場できるだけでも、十分強豪国と言えそうです。

 

このほかにも面白い共通点、相違点はまだまだたくさんあると思われます。発見次第、この記事も更新していきたいと思います♪