11カ国目~アゼルバイジャン~
10/3(金)プラハ→バクー
旅も残すところ1週間となってしまった。長い気もするし、早い気もする。今朝のプラハの最低気温は摂氏1度だったらしい。昨日スーパーで買ったパンと果物、ヨーグルトで朝食を済ませ、8時半に宿を出る。ここから乗るのは、今やすっかりお馴染みとなった59番バス。これが72時間チケットで乗る最後の乗り物となる。ただし乗り場は昨日までと違い、道路を挟んで反対側。空港ターミナル方面へ行く。外はまだ寒々しいが、幸いバスはすぐ来てくれた。
プラハ・ヴァーツラフ・ハヴェル空港のターミナル1到着後、荷物を預け、イスタンブール以来久々の出国手続き。出国スタンプは、コペンハーゲン入国と同じページに、揃えるように押された。しかしその後待っていたのは、謎の機械による謎の手続き。パスポートの写真と顔の照合、指紋の記録などがなされたが、何だったのだろう。まだ搭乗まで少し時間があったので、ビジネスクラスチケットで入れるラウンジへ。今日は4時間越えフライトなので、ビジネスクラスなのだ。ただ、お腹はいっぱいだし、また機内食のボリュームは凄そうなので、ドリンクだけにしておく。
時間が来たので搭乗口に向かう。荷物検査はここでの1度切りだった。既に行列はできており、優先搭乗も何もなかった。しかも前の男性が「要確認」っぽい案件に引っかかってしまい、直前で足止め。とはいえ私達はスムーズに通して貰えた。
しかし今回のビジネスクラスは、ベトナム航空やエミレーツ航空と比べるとちょっとショボい。シートは大きくてのびのびだが、リクライニングは電動でなく、フルフラットにもならない。モニターも無かった。まあその分アメニティグッズや食べ物、飲み物のサービスは良かったが… 座席は横2列なのに、なぜか母の席は私の真後ろだった。母の隣に座っていた男性は英語の達者な、フレンドリーな人で、日本にも行ったことがあるとの事。私は前の座席だったので会話には殆ど参加しなかったが、終始母と楽しく会話していたし、スタッフともジョークを飛ばし合っていた。一方私の隣の男性は、離陸後間もなくスタッフに断った上で、空いている前の座席に移動してしまった。まあお陰で私はストレスなく、座席を独占できた。

さて、飛行機はプラハを定刻通りに離陸。さらばプラハ、さらばヨーロッパ!下界はすぐに森と畑になり、それも雲に隠れて全く見えなくなってしまった。この先ずっと雲海の上を進む飛行機。モニターが無いのでどこをどれくらい飛んでいるのか全く見当がつかなかった。暫くして機内スタッフからドリンク、続いて機内食の案内が来る。これが案の定、十分すぎるサービスである。まずウェルカムドリンクでオレンジジュース、食前にコーラ。機内食はチキンを選んだが、チキンカツにハム、パン、サラダ、デザート代わりにまた大量のチーズとパン。余ったチョコムースまでサービスでくれた。もちろん一度にこんなに食べ切れない!が、持ち帰るわけにもいかないでので、2時間くらいかけてゆっくりと完食することに。
外を見れば下はまだ一面の雲。そのためか、今までにない位に飛行機も揺れる。これがもし地震の揺れだったら結構恐怖!というレベルで、揺れている時間も長かった。今日の東欧は荒れ模様だったのか。ようやく雲が晴れた時には海の上だった。ルートから察するに黒海上空だろう。ちなみにプラハとバクーを直線距離で結ぶと、途中ウクライナ、しかもクリミア半島の上を横切る。しかし情勢が情勢だけに、ここを通る可能性は低いだろう。フライトの半ばを過ぎた頃、山がちな陸地が見えてきた。もうコーカサス山脈まできたのか?と思ったら、短時間でまた海上へ出てしまった。まさか本当にクリミア半島を横断したのか?それとも大きく迂回して、トルコ最北部をかすめたのだろうか?ええい!ルートマップが無いのがもどかしい!(後で確認したら後者だった模様)

これはこれでいい眺め
長い食事を終えてしばし15分ほど仮眠。起きたらもう下は陸地だった。着陸まで30分を切っていたから、ジョージア上空か、ひょっとしたらもうアゼルバイジャンに入っていたかもしれない。間もなく飛行機は高度を落とし、機内アナウンスも入る。アゼルバイジャンはやはり乾燥地帯のようで、眼下に広がる山々は茶色い。建物が認識できるくらいの高度になった頃、飛行機は再び水上へ。カスピ海上空である。そこから旋回し、ほぼ定刻通りにバクー・ヘイダル・アリエフ空港に着陸した。母と会話をエンジョイしていた男性にお礼を言い、空港敷地内へ。
日本人はここでアライバル・ビザ(無料)を取得する必要があるが、英語のできる空港スタッフさんと、英語での機械操作のおかげでスムーズにビザを取得できた。そしてまた、久々の入国審査。私の髪の長さがパスポートのそれと随分違っていたためだろうか、受付の人は私の名前を再確認し、更に別の職員とダブルチェックの上、ようやく通してもらった。アゼルバイジャンの入国審査は厳しめと言っていたが、予想とはちょっと違う厳しさ。

ホテルから撮った空港の夜景。ただし私達が使ったのはこの隣のターミナル
敷地外では、予め母がメールで頼んでいた送迎車に乗り込む。が、ものの数分で今日の宿に到着。明後日の出発ことを考えて空港直近にしたのだが、部屋からも飛行機が見えるくらいの距離とは… 嬉しいことに、部屋にはバスタブもあった。ハンガリーでの温泉を除けば、湯船につかれるのは実にベトナム以来である。ここで時計をアゼルバイジャン時刻に直した。この作業も久々であるが、この旅で初めて時刻(タイムゾーン)が日本側に近づいた。いよいよ本格的な“帰路”である。
10/4(土)バクー
現地に来てみないとわからない事は多い。今日バクー市内を観光するために、当初は配車アプリBoltを使って移動しようと考えていた。しかし提示された金額が、You tubeで旅行者が使っていた時と倍以上違う。ならば、と当初の予定通り、ホテルから空港まで5分ほど歩き、路線バスエアポートエクスプレスで中心部へ向かうことにした。アゼルバイジャンで嬉しかったのは、信号の無い横断歩道で必ず車が道を譲ってくれる点である。これは日本以上だ。空港内のお店で朝食。とはいえ、まず館内に入るのに簡易ながらX線検査があり、お店もマクドナルドかスターバックスくらいしかなかった(しかも空港価格…)。結局朝マックにしたが、これも事前情報と異なり、Wiseカードが使えた。

バスに乗るには、バクーカードを購入する必要がある。いつぞやのイスタンブールカードに似ている。幸いこのカードも1枚(2マナト=170円位)買うだけで2人分使えるようだ。私は10マナト(870円位)払って、残る8マナトをカードにチャージする。エアポートエクスプレスの運賃は1人1.3マナト(100円強)である。安い!!券売機の目の前に停車していたバスで空港を出発。道中いくつかのバス停に停まると、間もなく高層ビルが見えてくる。バクー市内のビルは、どれも芸術的センスの光るもので、ねじれた直方体のビル、いくつかのブロックがダルマ落としのように縦に重なったデザインのビルなどなど。バスは曲線美が映える複合文化施設ヘイダル・アリエフセンターの前も通ってくれた。ヘイダル・アリエフとは、アゼルバイジャンの初代大統領で、空港の名前にもなっている。

バスの車窓から見えたビル。バクーには世界中から多くの建築デザイナーがやって来るらしい

ヘイダル・アリエフセンター
30分ほどでバクー駅(厳密にはその付近の公園)に到着。バクーも乾燥地帯なのか、空気はカラリとしており、木陰があると涼しく心地よい。バクー駅に隣接している地下鉄駅は、「5月28日」駅という。これはロシア帝国崩壊後の1918年5月28日にアゼルバイジャンが初めて独立宣言を行ったことから来ているのだという。この駅で地下鉄レッドラインに乗り、終点のイチェリシェヘル駅へ。地下鉄もバクーカードで乗り込むのだが、その入口に簡易ながらX線の荷物検査があり、出入口は完全に分けられていた。
イチェリシェヘル駅は、バクーの旧市街と接している。この旧市街は、中世に栄えたシルヴァン・シャー王朝の宮殿があった場所で、現在もその城壁が残っていた。宮殿自体は世界遺産にも登録されているが、ちょっと値段が高かったので外観を見るにとどめる。城壁の中には昔ながらの建物が細い路地の両側に複雑に立ち並んでいた。そのどれもがイスラム色を放ち、何となく北アフリカの旧市街で見られる「カスバ」を想像する。
左のガラス張りの建物は地下鉄イチェリシェヘル駅


旧市街地の街並み
しかしバクーはもちろん中世の古い都市のままではない。城壁の外側を望めば、そこにはまた特徴的なビルが。バクーのシンボル、フレイムタワーである。この新旧の建物が放つ絶妙なコントラストに、人々は惹かれるのかもしれない。私はこの場所を、遺跡かテーマパークのような存在だと思っていた。しかし実際には洗濯物などが干されていたり、室外機が取り付けられていたりと、普通に人々が生活している場のようだ。もちろんその一部は観光客向けに店を開いており、お茶や軽食、お土産用に絨毯やアクセサリー、ロシア風の帽子なども見ることができた。また、町中には至る所にネコがいた。これは事前情報の通りである。

古い城壁と近代的なビルのコラボレーション
迷路のような旧市街の先には、悲劇の伝説が残る乙女の塔がそびえていた。その脇を抜けると旧市街は終わり、自動車道に出る。こちらには西洋風の建物が並んでいた。その自動車道を渡ると、湖畔公園がある。いや、ただの湖畔公園ではないだろう。なにしろ公園の先に広がっているのは、湖としては世界一の広さをもつカスピ海なのだから。また園内の木陰で休憩しつつ、カスピ海の湖面まで足を延ばす。

カスピ海の面積は、日本の国土面積とほぼ同じ
広すぎる上に塩湖なので、海と言われても信じてしまうだろう(実際海という見方もあるそうだ)。ほのかに潮風ただようこの場所に座れば、アゼルバイジャンが内陸国であることを忘れてしまう。奇抜なデザインの建物はカスピ海沿いにも建っており、右を見ればトゲトゲした白いドーム状の巨大建造物(ショッピングモールらしい)。左を見れば、アーチのような門のような形のビル。
先述のフレイムタワーも、ここからよく見える。旧市街では2本しか見えなかった棟だが、奥にもう1棟あった。まるで東京下町にあったというお化け煙突だ。しかし夜にはこのビルが、文字通り炎のようにライトアップされるらしい。

旧市街に戻り、喫茶店で昼食。本当は地下に店舗を構えるオシャレなお店でアゼルバイジャン料理を食べられたら、と思っていたが、どこにあるのか探すのに母をあまり歩かせるのも、ということもあり、普通のお店にした。まあテラス席で心地よい風を受けながらの昼食も悪くなかった。ただ、注文しようと思ったアゼルバイジャン料理っぽい軽食が「今の時間は無い」と言われ、またサンドイッチ… まあ付属のポテトも含めてボリュームはあったし、ネコがおねだりしに近づいてきたので、良しとしよう。ちなみにここでも端数はお釣りとして返してはくれなかった。

このお店のウェイター?
その後また自動車道に出て、一般市民向けの食料品店へ。Google Mapにはスーパーと書いてあったが、実際にはコンビニのような大きさ。ここで地元民御用達と思われるインスタント食品やヨーグルトを購入。これが夕飯であるが、3品全部で4.8マナト(420円くらい)だった。しかもWiseカードはここでも使えた。Chat GPT情報では、アゼルバイジャンは現金社会と言っていたが、ハノイやバンコクより全然使えるじゃん!
その後イチェリシェヘル駅へ戻り、地下鉄でバクー駅へ。ただ、私の計算が正しければ、バクーカードを2.4マナトチャージする必要がある。しかし機械にお札を通せば、その全額がチャージされてしまい、勿体ない。1マナトを3枚ほど調達できないかと、駅周辺のあちこちを歩き回る。途中のお店で2.5マナトのジュースを発見。これを買って5マナト出せば、2.5マナト返って来てこれをチャージに回せるのではと購入。しかし返ってきたのは2マナトだけ。やっぱり端数はダメなのか。
結局3マナトのお菓子を買い、20マナト札を崩してもらった。またこれを地下鉄の入口にある券売機へ。が、チャージにも一度X線検査を通さねばならないらしい。郷に入っては郷に従えと、荷物を通して回収するも、今度は母の持っていたジュース(買ったばかり)が、X線の機械から出てこないというハプニングまで起こる(入口の所で引っかかっていたので回収できたケド)。
そんなこんなで無事にチャージを終えることはできたが、ここで確認すると、元々カード内にはまだ3マナト残っていたようだ。バスと地下鉄では料金が違うことに気がつかなかったのである。今までの苦労は一体… まあ、とにかくこれで空港に帰れる。と思ったが、今度はさっきのバスにどこから乗ればいいかがわからない。降りた公園まで行ってみるがここではなさそう。またあちこち歩き回って、やっとこさ先ほどと同じデザインのバスを発見。結局今日もまた2人で長距離を歩き回る1日となった。
3時過ぎにホテルに戻る。疲れていたがこのホテルにもプールがあるという事なので、せっかくなので行ってみた。屋外プールは綺麗だが水が冷たすぎたので、屋内プールへ。無人のこちらでは少し泳ぐことができた。この旅最後の水着使用の機会となった。夕飯は、先ほど市内のスーパーで買ったインスタント麺。パッケージに分厚い肉の塊が描かれていたので、期待してフタを開けたところ…
「大噓つきーー!(ToT)」
次バクーに来たら、絶対豪華なアゼルバイジャン料理を食べてやる!と心に誓ったのであった…
12カ国目~ウズベキスタン~(工事中)